12月の初めには福島県南相馬市へ。
新幹線で仙台まで行って常磐線に乗り換えと思っていたのだけど、東京駅から常磐線特急で仙台で繋がっていることを発見。なのでそちらで行くことに。席の指定は進行方向右の窓側にしてもらいました。海が見えるはず。
常磐線は乗り慣れた線なので普段降りる駅を通過していく楽しさもあります。
この日は天気が良かったのですが雲も綺麗でくるくると変わる空の様子を眺めながらのんびり電車移動。だんだん海が見えてきますが、海のキレイさとまだ真新しい防波堤やトラクター、広い空き地、新しい道など。でもそこに人が見えて来ない箇所も多く何をもって復興というのだろうなど考えてしまいました。
さて、12月といえばクリスマス🎄。
今年はとても久しぶりに那須弦楽亭でクリスマスコンサートでした。
弦楽亭の響きはやはり良い。
この写真を見ると、弦楽亭ってこんなに天井が高かったんだ!と思います。
写真を見た方々が、すごく素敵なホールだねとか一度は行ってみたいとか言ってくださる。
オーナー達がこだわり大切にしてきた事がわかるホールです
そんなホールでクリスマスコンサートは弦楽四重奏で弾くクリスマスの曲や讃美歌など、お客様も歌ってくださるし良い雰囲気だったと思います。ヴィオラはあっという間に芸ストのレパートリーもこなしてくれた可愛いあいちゃんが来てくれました。以前にも弦楽亭クリスマスコンサーに来てくれたことがありお久しぶりの弦楽亭、ありがとう。
コンサート後は新幹線の時間まで🥂と美味しい手料理。晶ちゃんの子供たちもお手伝いありがとう。大きくなっちゃったし気は利くし明るいし、スクスクと育ったなぁ、と親戚のおばちゃん気分です。
そして、27日には友達に誘われて、芸大で行われた『蓄音機で聴く室内楽の楽しみ』〜伝説の名演の味わい〜に行ってきました。
誘われた時には蓄音機にはさほど興味はなくてどちらかと言うと私達の入試から卒演まで、要するに大学時代はここで始まりここで終わった「第6ホール」が今、どうなっているかに興味があったのですが。
案内をもらった時に「幸松肇氏の弦楽四重奏に特化したSPレコードコレクションが本年ご遺族から寄贈され」とあり、あれ?幸松さん?と思ったのです。幸松さんは芸者ストリングスとも関わってくださり、レパートリーにしている「ソーラン節」なども幸松さんのアレンジなのです。
2022年1月に永眠されたとのこと。なんか実感がないまま、御徒町で友達と待ち合わせ、上野公園や大学周りの変化などチェックしては思い出話などしつつ時間になったので門を入ります。校内を通ってホールに入るものと思っていたのですが、今は外から入れるようになっているので校内を通れず残念でしたが、入り口を入るとここはどこ?というほどキレイ。そしてホールに入ってまたびっくり。
「こんなにきれいになって!客席に段差もある!」
とひとしきり感心したところで席に。
まずは蓄音機の簡単な説明を聞きます。
この蓄音機は手動で蓄音するので途中その時間がかかること、その度に針を変える事、針で微量に盤が削られるので今が1番良い状態である事などなど。2台置いてあるのは何かあった時の予備だそうです。
そしてチェリスト河野文昭教授のお話と共に音楽を聴いていきます。
蓄音機というとジージーという音、という印象が私の中にあったのですが、その中から出てきた音は温かく、まるでそこで弾いてくれているかのような臨場感。
音が小さいので自然と耳を傾けて音に集中して聴きます。
と、良いところで音が止まってしまう。SPレコードは片面に4〜5分しか録音できない為平気で曲の途中でぶった斬られるそうです。そしてまた裏返して針を落とす。これ一曲聴くのに何枚のレコードがいるのだろう??
そんななので抜粋で色々なカルテットの色々な曲を河野氏の解説を聞きながら聴いていくのですがこの解説がとても面白くて。特に私が面白かったのがカペー弦楽四重奏団のラヴェルでした。
初めは耳をすまさないと聴こえないようなレベルなのだけれど途中から自然と聞ける音量になるのだけれど、この時代一切ボリューム動作などしていないので、しずーかに始まりだんだん厚みを増していくという曲の作り方をしているとか、2楽章の初めが、えっ?何の曲ってほど合っていなのだけどこの頃は精密さよりフランス人らしさが優先されたんでしょうね、とかポルタメントの入れ方とか。
思わず家に帰ってからネットでカペー弦楽四重奏のこのラヴェルの弦楽四重奏曲の演奏を聴いてみたけど思わず笑ってしまった!特に2楽章のピチカート部分。もうチェロを完全無視。もうちょっとあわせていこうよ!とツッコんでしまいました。
でも改めて聴くと本当に良い曲。
そしてこういう演奏は特にパソコンやCDで聴く音がなんて味気ないかがそこでもよく分かりました。
一曲でもこれだけ面白いので2時間本当に楽しめたし、伝説の名演というだけあって曲も演奏もそれぞれのスタイルで楽しめました。しかも臨場感たっぷりな音で。音量や音質なども操作されたものではないのでその時の録音状況によって違うそうですが、それも体験出来ました。
いやー、もうこの会の話をしたら止まらなくなるので(ここまででも十分長いけれど)このくらいにしておくけれど、時代によって求められる音も演奏も違うのだな、と思うと共に、大切なものも失われたのだなと感じたりしました。
そして河野氏がおっしゃっていたのですが、幸松氏から寄贈されたSPレコードはどれも保存状態が非常に良く、幸松氏がいかに大切にレコードを扱っていた事もわかるそうです。
幸松肇さん、芸スト定期ライブにいらしてくれたときソーラン節を演奏して「アレンジしてくださった幸松さんです」と紹介した時にニコニコとして立ち上がって下さった笑顔が今でも思い出されます。
本当に良い方で、そして改めて弦楽四重奏への愛を感じます。ありがとうございました。
そしてこれを機会に私も弦楽四重奏っていい曲が多いし、やはり弦楽器の良さを最大に聴かせてくれる編成なのだなと思い、弦楽四重奏聴きたい熱が高まっています。ベートーヴェンの全集欲しいな、そういえば学生中はアルバンベルク弦楽四重奏団が好きで、レコード持っていたのどこに行ったんだっけ?でも今はもっと穏やかな演奏が好きになってそうだしCDで聴いても冷たく感じてしまうんだろうだろうな、などうろうろしています笑。
そして大学に入学するまで弦楽四重奏曲の存在さえ良く分かってなかった私がこんなに色々な曲を弾く機会があった事、その機会を与えてくれるメンバーがいた事に改めて感謝の気持ちを持つことになりました。
誘ってくれたFちゃんありがとう。
こうして弦楽亭クリスマスコンサート、芸大での蓄音機で聴く室内楽と続き、弦楽四重奏って良いなと思った12月でありました。結論まで長すぎましたが、ここまで読んでくださった方がいたらお付き合いありがとうございました。
そんなこんなで今年ももうすぐ終わります。
今年も色々な事がありましたが、タイミング良く皆様に助けられて生きております。
関わって下さった皆様ありがとうございました。
来年もよろしくお願い致します。
良いお年をお迎えください。
雪之丞