今回メインに取り上げるのは
ベートーヴェン弦楽四重奏曲第10番『ハープ』
この曲は1楽章のピチカートがハープのように聴こえることから『ハープ』との愛称で呼ばれています。
さてさて、まずはベートーヴェンというと気難しくて偏屈でいつも眉をひそめているような感じを受けるのは私だけ?
いや、あの音楽室に飾ってある肖像画みたいなのがそもそもいかんと思うのです。
それに演奏するときにでも音楽記号に忠実にだとか、そして何かと難しいイメージがあって私はベートーヴェンというとカチコチに固められるイメージがあって苦手意識もあったりしました。
だけど本当に名曲がありすぎてやりたい気持ちはあるんだけど、、、
なんていう苦手意識を持っていたところに、芸ストの曲候補が上がる前くらいにベートーヴェンの交響曲8番を弾く機会がありその時にベートーヴェンの逸話?みたいな話を聞く機会があり、ベートーヴェンが割とラフで散歩しながら曲を作っていてそれを街の人たちも楽しんでいた、みたいな話を伺って(こういうのは本当のところは誰もわからないですけれどね)親近感を持ったし、ベートーヴェンに対して構えすぎないで良いのかも、とベートーヴェンにすごく興味を持っていたところに芸ストの今回のライブ曲候補として春奴が提案してきてくれた曲がこの曲でした。
私ね、音楽的にも性格的にも溢れ出るような情熱とかあまり持ち合わせていない、というかもしあったとしてもよほど気が向かないと出てこないので(笑)もうベートーヴェンの弦楽四重奏曲の中で後期と言われれる曲は弾くことは厳しいと思っていましたが、この10番は明るいし曲の作りが素晴らしくわかりやすいので曲に助けられるかも、と思ったのですよ。
でもね、ベートーヴェンさんはそんなに甘くありませんでした。
曲がしっかりしているだけにきちんと整理整頓しないとアラが目立つがバレてしまう、という曲だったのです(☀︎あくまでも個人の感想です)
だけれどね、私はこの曲ってベートーヴェンの交響曲に見られる色んな要素が垣間見れて面白いのです。
交響曲5番運命のモチーフや6番の平和なメロディーとかその後の交響曲にも出てくるようなモチーフが織り込まれているような気がしていて、これもあくまでの個人の感想なのですけれど。
それと共にこの曲の前に作られたベートーヴェン弦楽四重奏の傑作と言われるラズモフスキーの3曲を書いた後かなり時間が経ってから書かれたこの曲が、極限から解放された、みたいな自由さや楽しさみたいなものがあって、そこは誰かに献上されるためではなく書かれた交響曲第8番と共通するところがあったりするのかな、と勝手に思ったりしています。
というわけで、私、はっきり言ってこの曲大好きなんです!
だから私としては頭の中に珍しくイメージが湧いてくる(4楽章はまだ微妙だけど)曲なのです
なのに、、、
それを叶わせてくれない年齢のせい。
にしてはいけない、いけないんだけれど、やはり立ちはだかる年齢という壁?なのか?
この曲、何が難しいってもちろん左手の指が回るか回らないか問題もあるけれど、何よりも右手のコントロールだったりするのです。
フォルテから急にピアノ、しかも直前までメロディ、あるいはメロディに寄り添ってすごい盛り上がってのにいきなりきざみしかもピアノで?なんと説明すれば良いかわからないけれどメロディ弾いてたら突然あなたリズムキープ役よ!というのがそれぞれ織り交ぜられる感じ??いやなんか違うかもだけど、その急激な変化に瞬間で対応する弓を持っていく位置とか?
しかしながら1楽章の後半に出てくる1stヴァイオリンのアルペジオとか凄すぎ。毎回心の中で春奴に拍手送っています。
とにかく何かと大変、でもそれは曲が完成されているからこそなんだと思います。
だけれども誰もが毎年歳をとる。
昔難なく出来ていたことが大変難しい。
好きな曲で頭の中にイメージがあるのに思ったように弾けないのがジレンマだったりします。
まあそれを言ったら今回の2部のポピュラー音楽だったりもします。
ベートーヴェンが散歩好きだったことから副題を『散歩』にしたのですけれど、昔弾いていた曲も昔のようにはいかず
ともう、今は左手が痛いだの右の腕が腱鞘炎になりそうだの悲鳴を上げながら取り組んでいます。
でも好きな曲を弾けることは幸せでもあるしリハーサルは大変でもあるけれど自分の癖や思い込みを周りのメンバーから指摘されることによって気づきが多いのはありがたいことです。だってこういう機会がないとそんなことわざわざ言ってくれる人っていないじゃないですか。そしてやはり大変ながらも4人で音楽を作っていくことはとても楽しいし貴重な時間なのです。
本番はこれまで積み上げてきた事で、今の私たちなりの演奏をお聴きいただきたいと奮闘中です。
すでにご予約いただいている皆様ありがとうございます。
そして当日ふらりのでもお席ご用意出来ますのでお時間が空いていましたらいらしてくださいね。
芸者ストリングス一同お会いできる事を楽しみにお待ちしています♪