もう10日以上前の話になりますが。
仲良しAちゃんから「鶯谷にすごく素敵なお店があるの。だけど、そこは女性だけでは絶対はいれないの。私達どちらかが男装しても入れないの。」というお店があることを聞き、ならば近いうち飲みましょうと言っていたダンディーFさんに連れていっていただきましょう!
ということでFさんに予約を入れていただき、私とAちゃんは鶯谷駅で待ち合わせしてお店に向かいます。鶯谷なんて何十年ぶりに降り立ったでしょう。
女性一人で歩くにはちょっと勇気いるかな。
大通りに出てちょこちょこっと曲がると、「え、これが居酒屋さんなの!?」というこんなたてものが。「
鍵屋」さん。超老舗居酒屋です。
ほっほう~。としばらく観察してしまいます。
あとで店の方に聞いたら築100年で、40年前にこちらに移転したそうです。
ガラガラっと中に入るとすでにFさんが座ってビールやってました。こういうところが似合うんだな。
店のなかもすごく雰囲気があってまたまたほっほう~。
ビールで乾杯して食べ物を頼みましょう。
あらー、メニューというよりお品書きもほっほう~なこちら。
年季入ってます。潔いです。
Aちゃんと、これ持って帰りたくなるよね、何に使うわけでもないけど、なんて話しながら色々頼みます。
大根おろし。シンプルです。
そしてこれ!
うなぎのくりからやき。これがおいしい。これには日本酒でしょうと日本酒常温でお願いします。
鶏皮鍋にもつ鍋。中が皮かモツかの違いです。
このねぎが入れてある器もいいなぁ。
私達の大好きな畳いわし。
たたみが丸まってます。こういうところがちょっとお茶目。
焼き物も。
ここの大将が素敵だと二人から聞いていたのですがこの日大将の姿は見えませんでした。
若い店員の方に「なんでここは女性だけのお客さんはだめなんですか?」と聞いてみると。
「今聞いてまいりますので。」
そしてかえって来た答えは
「先代の遺言だそうです。」
ほっほう~。これはこれ以上誰も文句も疑問も言えません。だって「先代の遺言」は守らないとね。
帰り際に素敵な大将の顔も見ることもできました。
さてこういうところは長居しちゃいけねぇ。と急に口調も江戸っ子になったところで店を出て次にむかったのは湯島。
またもやちょっと女性だけでは勇気がいる感じ?の通りから曲がって曲がってとあるスナックへ。
ここのママ、Mさんがなんとも素敵なのです。
着物をピシッと着こなしてきれいにお化粧して。
でもあちらの組合の方、Mさん、昔は相当怖かったらしい。Fさんが連れてきた女の子たちも相当怒られたそうです。
「今は怒んないわよ~、もうね~年取ったら怒るって疲れるのよ~。」
というわけでこういうところで怒られがちなAちゃんと私も怒られませんでした。
この日ほかにお客さんがいなかったので色々話をしてくれたのですがもうこのM姉さんの経験豊富な話をたくさんしてくれてFさんとこの界隈の昔話などもたくさん聞けて笑いっぱなし。
でも昔怒ったときの話をしてくれた時に姐さんが机を人差し指で「トンっ!」っとたたいた時にあぁ、この人に怒られたら泣いちゃうかも、とその迫力にビビった私でした。
でもね、なんか本当に素敵なんだなぁ。年齢を聞いてもその若さにAちゃんが「私たちが1年の時の三年生っていう感じ。」といったのがすごく的を得ていると思う。
この日ちょっとむしゃくしゃしたことがあった私も「そんなの大したことじゃないなぁ。」と思うし、なんだか元気になります。
こうしてすっかりパワーをもらった私達が湯島駅から帰ろうと改札に向かっていると、私達の商売道具に軽く絡む(ってほどじゃないけど)ほろ酔いの男性達。その辺は軽くスルーしながらAちゃんと
「鍵屋さんが女性だけの客はお断りという意味がなんとなく分かった気がするね。」とうなずき合ったのです。真相はわからないけど人に不快感を与えず主義を守ると言う心意気なのかもしれません。
それなりに歳をとっても私はまだまだ中身はひよっこだな、としみじみ感じさせてくれた粋な人生の先輩方でした。
それにしてもM姉さん最高だったわ。