今回の壱部のメインの曲
『クライスラー弦楽四重奏曲イ短調』
クライスラー(1875~1962)は作曲家でもありますが、それとともに偉大なヴァイオリニストでもありました。1962年没、と言うと最近の人、という感覚で、日本でも演奏していますし、クライスラーが演奏したクライスラー作品のレコードなどもあります。
ウィーンに生まれながら戦争など時代の流れに影響され最終的にはアメリカ国籍となります。
その辺は興味があればググってください。
そんな偉大なヴァイオリニストが作曲した唯一の弦楽四重奏曲を今回演奏するのですが。
なんか、発想がヴァイオリニストの発想でふっ、と笑ってしまうのですよ。
大体かっこいいとこは1vnが弾いちゃおう。
あと上3人(チェロ以外)でメロディー和音で重ねていくと厚みがでていいね~。揺れ感も有っていいね~。
えーっとチェロ、初めにカデンツァで目立ったからいいよね~。
なんか和音の音が足りないなぁ。じゃあ、2ndヴァイオリンとビオラに重音弾いてもらっちゃえばいいか。
最後はどうしようかな。。
やっぱりチェロには散々リズムの刻みやらせちゃったからもう一回目立ってもらっておこうか、これで許してくれるよね。
あ、ビオラももうちょっとメロディーあった方がいいな。じゃあ最後はビオラメロディーで終わらせようか。
これで許してね。
みたいな。
偉大さは違ってもヴァイオリニスト的な感覚だなぁってなんかわかるんですよね。
でも私達がこの曲に至るまで何年もかかっているのです。
私達は何曲か候補曲を揚がったら一度集まって全曲軽く音を出してみます。その時にこの曲も毎年候補にあがっていたのだけど、なんかだ難しいしいから無理!と各楽章1ページづつぐらい弾いて却下してきた曲だったんです。
今回も他に候補曲があってその中から「これかなぁ」っていう曲も出てきたのですが、「クライスラー、今年も音出してみる?」と弾き始めたら、何回かほんのすこーしづつ弾いたのが記憶に残っているのか、弾きながら「なんかいいような気がしてきたんだけど。。。」という話になり。晶ちゃんが「姉さま方の揺れ感が一緒だからいいと思う。」と。それにもう一つの候補曲は来年でも弾けるかもしれないけど、クライスラーやるなら今かもね!という事で決定した曲なのです。こういうのを機が熟したというのでしょうか。
曲決めの時には難しいところは適当にごまかして弾いていたのでいざとなると難しい箇所が多いのですけれどね。
先ずは曲のテンポチェンジの決め事。それと音程。メロデイーが重音で動いているので1音1音和音が変わっていくし、またこれがヴァイオリン弾きの感覚なんだけど、音で考えてるから異名同音がいっぱい。違う音が書いてあるけど同じ音だったわ~、と目がごまかされるのです。あと弦や指の指定なども細かく書いてあってその通りやるととても難しいのです。同じ弦で高い音にチェンジポジションが多く、となると自然とポルタメントが入る。それが狙いなのでしょうね。
なんかこの曲を練習するようになってから仕事でも隣の弦に移ればいいのに無駄に同じ弦で弾こうとしているときがあります。
春奴は高い音や難しいパッセージに「腕がいたーい!」
私と紅玉は重音に「音程が合わなーい」
そして晶ちゃんは。
スコアを見ると、チェロがひたすらズンズンズンズンとリズムを刻んで上3人が一丸となってメロディーになっていたりするところが何ページも続いたりしてしかもテンポアップしていったりして私達3人がこれまた好き勝手にテンポをアップしたり緩めたりするのでそれに合わせるのが大変。
とそれぞれに頭を抱える部分があります。
でも音楽全体に深刻さとかはないので楽しむ部分は楽しんでいただけると思います。
というか、そうなるといいんだけどなぁ。
今しか聴けない芸ストのクライスラー、ってところを楽しんでいただくのもありです。
とはいえ残すところ2日。昨日通し稽古をしたのですが、その録音を聞いてため息付きながら心は焦りまくっています。なので全体的に何がいいたいかよくわからない文章になってしまいました。
ならこんな事書いてないで練習しなさいよ、って話なのだけど、練習してもうまくいかないと、松脂塗り直してみたり、弦変えてみたり、爪切ってみたり、ブログ書いてみたり。
毎回本番前はこんな感じです。