彼をはじめて見たのはもう何ヶ月も前。
でも、その姿は印象深かった。
それは水曜日。行けるときには定期的に通っている仕事の帰りの電車の中。
帰りの電車が一緒のKちゃんがあるとき
「ちょっと、あれ、クスッ!」
といって示した先には。
JRの温泉旅行のパンフレットを真剣そのものに読む小学生3,4年生らしき少年の姿が。
そのあまりの真剣な眼差しに私もクスッ!
その後少年はパンフレットを握り締めたまま眠りに落ち、いつの間にか乗り換えてしまったが、その印象は強烈。
そして私が行けなかった水曜日。
夕方Kちゃんからメール。
題名は「温泉少年」
そして内容は、
「今日のパンフレットは『風林火山』だよ!!!」
渋い、渋いなぁー、いいよ、温泉少年。
そこから私たち帰りの楽しみは温泉少年に。
でもなかなかあえないのよ。
多分、彼の電車の時間はいつも決まっていると思うのだけど、こちらが仕事後、ちょっと長話したり店に寄ったりしているとなかなか同じ電車には乗れないもの。
そして先週。
私は行けなかったたのだけど仕事帰りのKちゃんからメール。
「温泉少年発見!爆睡中!」
いいなあ、温泉少年に会えたんだぁ。私も会いたいぜ、温泉少年!、と思っていた今日。
ここには今年度末の出勤帰り。
今日会えなければ再会は難しいと思いながら電車に乗り、温泉少年はいないかと見回せば。
「いたーーーーーつっ!!!!」
相変わらずリョックを背負い、パンフレットに釘付けの彼。
そして幸運にも彼の隣の席に。
そっと見れば、今日のパンフレットは『神奈川、伊豆編』。
もうひとつは『古都に息づく新春のかおり、鎌倉』
おお、今日も真剣に読みふけっている。
そして、次の駅で反対側の端っこの席が空くと、すかさずそこに移動。
彼のお気に入りは端っこの席。
落ち着いたところで背負ったリュックを下ろし、落ち着いてまたもパンフを読みふけりながらいつの間にか手すりに首を預けて爆睡。それ故、彼には端っこの席は大切なのよ。
私も本を読みながらうとうとしていたけれど、その爆睡ぶりにいつもの駅で降りれるか心配に。
と思ったら、降りるべき駅、大手町に着く直前にパンフレットががさっ!と落ち、それで目が覚め、パンフレットを拾い無事乗り換え。
良かった良かった。
私の行っている仕事場も今日で年度末なので、4月まではこの時間に行くことはないし、彼も年度が変わったらいるかわからないし。
そもそも、彼が学校終わって家に帰るのか、学校終わってから習い事に行くのか。
それもわからないけど、来年度もこの時間の電車に乗っているかどうかは不明だし。
だから今日会えてほんとによかったわ、温泉少年。
それにしてもなんでこんなに真剣に見守っているんだか。。
それに彼がどんな大人になるんだか楽しみで。
面白い甥っ子をもったおばちゃんのような感じかしら。
もちろん温泉少年に会ったことは今日、帰りが一緒ではなかったKちゃんにメール。
Kちゃんも「しばらく会えないから会えてよかったね。私も彼の成長過程を見たいと思っているのよ」との返信。
パンフレットを読みふける彼の一番の興味は何だろう。
どうやら料金の部分はあまり見ていない。
施設とか写真とか地図に興味があるみたい。
でも、大体持っているパンフは温泉ものだし。
温泉に興味があるのかな。
今、注目中の彼。
どんな大人になるか見届けたいKちゃんと私。ツアーコンダクターか?温泉リポーターか?
パンフレット集めのオタクか。
オタクにはならないな、このタイプ。
旅行社に就職して温泉プランナーになってたりして。ってわたしが夢を膨らましてどうする!だけど、きになるのよね~。
来年度も温泉パンフレットを握り締めた彼とぜひ会いたいな!!